オーストラリアのミュージシャン、メイス・フランシス(Mace Fransis)と知り合ったのは全くの偶然でした。仕事で日本に来ていたメイスとたまたま地元のバーで居合わせ、会話をする中で音楽水車の話になると彼は非常に興味を持ってくれたのでした。
そして次の来日の時に「とびがもり水車音楽祭」の制作時期に岩手まで来てくれて制作の手伝いをしてくれるとともに音楽水車プロジェクト岩手チームの面々との親交を深め、その翌年には愛媛県での「音楽水車in石畳」に参加してくれました。その中で彼の地元オーストラリアのパースで音楽水車をやりたいと言っていたのがいよいよ2016年に実現することとなりました。
パースは乾燥した気候で雨量も少なく、川はあるけれど非常に流れが緩やかで水車を回すのには適していません。そこでソーラーパネルで発電しその電力でモーターを回してみるを駆動するという計画です。クリスマスのライトアップの点火イベントLight Up Leederville Carnivalのメイン広場に設置することになりました。
日本からあらかじめ岩手のミルの図面や部品のリストなどを送り、メイスが部品や材料を現地で揃え、オーストラリアチームによりある程度まで制作が進んだところで私がパース入り、チームに合流してイベントまでの10日間で完成させるというスケジュールでした。
パース・ミュージック・ミルは岩手のミルをもとに作られていますが、当時岩手のミルではダイアトニックだった鉄琴がクロマチックになっていたり、竹でできていたパーツが竹が入手困難ということで塩ビパイプになっていたりと細かい仕様の変更が施されていました。
制作には家具職人やメイスの友人のミュージシャン、大学の教え子たちも加わり、イベントの3日前には岩手と愛媛から3名が合流し、日豪混成チームとなりました。
日本の大工さんとオーストラリアの家具職人さんとの間で技術の違いなどを通じた言葉の壁を超えた交流が生まれていました。
Light Up Leederville Carnival当日は快晴(12月は当地では真夏)の空の下、様々なバンドがミルとの共演を果たしました。