開催日時:2016年2月20日(土)
開催場所:石畳清流園(愛媛県喜多郡内子町石畳)
愛媛大学と松山大学の連携事業「SENSE MATSUYAMA BE SCHOOL」からの招きで愛媛県内子町石畳での音楽水車コンサートを実施しました。
インターネットを通じて音楽水車プロジェクトの活動を知ったSENSEの学生さんからコンタクトがあり、ぜひ音楽水車を愛媛県でやっと欲しいとの依頼を受けました。愛媛県と岩手県の距離のことなど数々の困難が予想されましたが、学生さんの熱意と、その希望に応えたいというプロジェクト側の思いとで、実施を決めました。愛媛まで運べるのはミルのうち昨年新たに作った「ブロックA」の部分のみが精一杯で、現地で稼働している水車に連結して動かす、という方法を模索することとなりました。
検討の結果、実施場所は実際に稼働中の精米水車がある内子町石畳が候補となりました。。石畳は「村並保存」の長い実績があり、住民主導の地域おこしが継続している地域です。その一環として地域力を結集して3基の水車を建設し実際に精米を行い「水車米」として販売し、年に一回11月に行われる「水車祭り」には多くの人が訪れています。石畳の地域おこし活動の母体「石畳を思う会」の協力をいただけることとなり、準備に取り掛かりました。
1月に音楽水車プロジェクトから代表が現地に赴いて、SENSE、石畳を思う会の皆さんとの下見・打ち合わせと水車各部分の採寸や回転数の計測をしました。その寸法に基づいて、岩手チームがプーリーやVベルトを利用した連結部分を制作、ミルを載せるステージは石畳の大工さんが制作するという「遠隔コラボレーション」が始まりました。
2月16日早朝に岩手チーム6名とミルを乗せたマイクロバスが岩手県一関市奥玉を出発、途中愛知県岡崎市に1泊して2月17日夕方に石畳に到着。2月18日、19日の2日間で準備作業が行われました。最も心配された水車のシャフトとミルの連結は、ほとんどトラブルもなく完了し、ミルのシャフトがスルスルと滑らかに動き始めました。オーストラリアからのギタリスト、メイス・フランシスも合流し、各楽器部分の調整と仕込み、SENSEの学生さんも交えたリハーサルが行われました。
迎えた本番の朝はあいにくの雨でしたが決行となり、地元の方々がステージと客席の上に手際よく張ったブルーシートの下で音楽会が実施されました。演奏する方も聴いている方も寒さで手がかじかみ大変でしたが、石畳の会の提供する温かい食べ物や飲み物で暖をとりながらステージは進行しました。途中、愛媛県のゆるキャラ「みきゃん」も登場し、会場を盛り上げてくれました。
イベント終了後の懇親会では、SENSEの学生さん、石畳を思う会の皆さん、音楽水車プロジェクト岩手チーム、そしてオーストラリアから駆けつけたギタリストという具合に、年齢や地域、国境を越えたコラボレーションを終えたあとの一体感とともに和気藹々と打ち上がりました。
イベント翌日2月21日に石畳を後にした岩手チームは、途中三重県四日市市で1泊し、2月22日の夜に無事奥玉に帰り着きました。足掛け1週間、往復2,600kmに渡る長旅で寝食をともにした岩手チーム、文字通り「同じ釜の飯を食った」仲間となりました。
「音楽水車 in 石畳」ではミルを移動して既存の水車に連結して演奏するという初めての試みが成功し、今後の音楽水車プロジェクトの新たな方向性も見いだすことができました。